集会・行動案内 TOP
 
琉球弧から全国に拡大する軍事態勢

【南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会】  根本 博

■軍事大国に向かう日本

安保法制制定以降、日本の自衛隊は、戦争する軍隊へと大きく変質し、この中で、南西諸島の自衛隊配備が進められてきました。自衛のための戦力から、アメリカの軍事戦略の一翼を担う存在として、他国も攻撃する軍事組織となってしまいました。この中で、日米共同軍事演習が行われていますが、昨年10月23日~11月1日のキーンソード25は、南西諸島の島々をはじめ全国の自衛隊、在日米軍施設で実施され、加えて一昨年指定された「特定利用空港・港湾」36施設も軍事作戦に組み入れられました。関西では、経ケ岬通信所での演習に、福知山市の陸上自衛隊、高島市の偵察戦闘大隊、八尾市の第3飛行隊などが参加して行われました。また、この演習には、NATOをはじめ、複数の国が参加しており、今年度は、この他日米韓、日米豪印、日比などの共同訓練も行われており、この1月には大分・日出生台(ひじゅうだい)で日英両合同軍事演習も予定されています。

 2022年末の安保三文書、2023年6月財源確保法により、防衛費は、2023年度6兆8219億円、2024年度7.9兆円、2025年度8兆7005億円と、予算は年1兆円ペースで拡大しています。日本の軍事費は、2024年度の軍事費ランキングで世界9位、軍事力ランキングでは世界7位につけています。24年度予算の時点で、防衛省単独の経費に海上保安庁や国連平和維持活動(PKO)関係費などを含めればGDP比で1.6%になっていますが、日本政府は、NATOの努力目標であるGDP2%を目標としており、2027年に、GDP2%の防衛費が達成されれば、11兆円をも上回る巨大な軍事国家の誕生となってしまいます。

■南西諸島での更なる基地の強化、拡大

南西諸島いわゆる琉球弧では、2016年与那国島、2019年奄美大島、宮古島、2023年石垣島の順に自衛隊基地が開設されてきました。この第1列島線の防衛体制の更なる強化が進められています。

 与那国島は、駐屯地の東側に地対空ミサイル部隊基地を造成し、更にその東側に有事の利用を念頭においた大きな港湾施設新設が計画されています。糸数与那国町長は、台湾有事を想定して島外への避難を求める町民に「どうしようもない状況になった場合は、各町民に給付金を振り込み、各自でなんとか生き延びてくれと」との発言もしています。島民が島を離れ、島全体が軍事基地となり、硫黄島のように閉鎖された島になりかねません。

 石垣島の駐屯地は、現在も工事は進行中で、2024年度も、施設拡大を目論んでおり、当初の47ヘクタールに今年度は7ヘクタールを取得し、更に21ヘクタール拡大するという計画や石垣島北部での用地取得の動きもあります。また、石垣港が特定空港港湾に指定されており、観光客に人気のある八重山の離島―竹富島、西表島、小浜島などへの玄関口となる石垣港は、軍事利用の対象となっています。

 昨年3月、自衛隊駐屯地開設1周年抗議の集会では、司会者がリックを背負って発言していました。万一、武力攻撃予測自体となった時、財産を捨てて、リュック一つで避難できるのか。住民、観光客合わせて6万人弱の人々を無事に避難させることができるのでしょうか。石垣島では、更に、電子戦部隊が26年にも配備される計画です。 

 宮古島では,今年度中にも千代田駐屯地に隣接した土地に電子戦部隊が配備されようとしており、保良訓練所では3棟目の弾薬庫の工事も進行中です。



■全国へ広がる軍事施設とその連携

琉球弧の軍事化は、全国で進められています。

弾薬庫‐関西においては京都府南部・祝園駐屯地での弾薬庫8棟増設の動き(2025年度予算で更に6棟増設計画)への抗議が地元を含め、関西各地で取り組まれていますが、防衛省は、関係自治体には情報提供するが、住民説明会を行う予定はなく、火薬庫の種類や輸送等については、防衛上の観点から質問にも答えようとしません。政府は、自衛隊の継戦能力を強化するため、2025年までに全国で新たに約130棟の弾薬庫を整備する方向で進めており、全国各地での増設が行われようとしており、中でも京都・祝園と大分市郊外の敷戸弾薬庫の9棟増設が抜きん出ています。祝園にしても、敷戸にしても大きな駐屯地ですが、祝園は、学研都市と大阪のベットタウンとしての精華町、敷戸は、県都・大分市南西郊外の住宅地。共に、駐屯地間近まで住宅地が迫っている中での弾薬庫増設です。近隣住民さえ、危険にさらしかねない増設が、果たして国民の安全・安心を守る行為となるのでしょうか。宮古島でも保良弾薬庫は集落の200m程南の地でした。いずれの基地でも保安距離が守られていません。日本も加入しているジュネーブ条約第58条の軍民分離の原則にも違反している可能性があると指摘されています。

九州での軍事基地増設‐佐賀空港でのオスプレイ配備、湯布院でのミサイル配備、特定空港港湾指定など、九州各地での軍事化が進む中でも、鹿児島での動きはすさまじいものです。その最も大規模な軍事施設が馬毛島基地の建設です。当初硫黄島の米軍FCLPの代替施設としての馬毛島でしたが、米軍の利用は年間20日程で、日本で最初の陸海空の自衛隊の総合基地建設こそがその目的です。種子島に海の幸をもたらし、馬毛鹿をはじめとする豊かな生き物たちの宝の島を潰して、軍事基地としようとしているのです。奄美大島、鹿屋、さつま町、特定空港港湾8施設、軍事演習地として利用された徳之島など、鹿児島での軍事関連の動きは目に余るものがあります。

広島‐また、西日本の中でも広島での基地群は、広島湾を南岸に東は呉から広島、廿日市、西は岩国市までのエリアに複数の自衛隊基地と在日米軍基地が連なっています。中でも今、大きな問題となっているのが呉の日本製鉄跡地を防衛省が購入しようとしている問題です。防衛省が購入することになれば、呉の日米両基地を含め、辺野古の基地よりも大きい軍事施設となることは間違いなく、海田・佐世保・岩国とも連携した兵員、弾薬、物資供給の巨大な兵站となってしまいます。



 南西諸島の島々での自衛隊配備、強化と共に、九州各地、広島を中心とするエリア、そして関西各地も面的な連携を進めながら自衛隊の軍事拠点が強化されている現状をしっかりと見据えながら、わたしたちは、戦争反対、軍事施設はいらないとの声をあげていくことが求められています。







関西共同行動ニュース No97