戦争する国づくりをとめよう
【米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会】 瀧川順朗
■加速する戦争態勢づくり
「台湾有事」を煽って2022年12月の安保3文書が閣議決定されました。その核心は反撃能力(敵国攻撃能力)であり、それが米軍の指揮下で運用される可能性が高いものであること、および軍事費をGDP比2%に激増し5年間で43兆円としたことです。2024年4月の日米首脳会談では、安保3文書の閣議決定に加えて、米軍・自衛隊の指揮統制の強化、日米豪の軍事同盟(AUKUS)への軍事協力、ミサイルの共同生産・輸出の拡大(日米軍需産業の連携)、拡大抑止(核の傘)の強化など日米同盟が歴史的大変質を遂げたことが確認されました。これらを背景に全国的な戦争態勢づくりが加速しています。
この間、「南西諸島」での自衛隊の配備増強とミサイル/レーダー基地の建設・強化、ミサイル弾薬庫の建設や基地の強靭化など全国の自衛隊基地の強化、日米合同軍事演習および多国間軍事演習の拡大、民間空港・港湾施設の軍事利用などが推し進められてきました。
沖縄・辺野古での新基地建設をめぐっては、地方自治権を踏みにじる憲法違反の「国による代執行」がされました。その上で、政府・防衛省は大浦湾側の軟弱地盤の改良工事に本格的に踏み出しました。
関西においても、祝園ミサイル弾薬庫建設、舞鶴でのイージス艦へのトマホーク配備と司令部の地下化、あいばの演習場での軍事演習の強化など戦争態勢づくりが進められています。
2025年の防衛関係予算案は実に8兆7005億円です。祝園では、8棟の弾薬庫の計画のその造成工事にも取り掛かっていない段階にさらに6棟の弾薬庫の増設、舞鶴でも弾薬庫3棟の増設が予算計上されています。防衛省の概算要求では、「各種弾薬の取得に連動して、必要となる火薬庫を整備」となっています。弾薬の取得が急速に進められていることが推測されます。

■米軍経ヶ岬通信所(Ⅹバンドレーダー)基地の固定化と強化の10年
2003年12月の日米韓によるレーダー情報の即時共有開始、2024年5月の土地利用規制法にもとづく基地周辺の「特別注視区域」への指定による住民監視と反基地運動の抑圧・規制に向けた動き、基地の監視カメラの増設など、基地の強化が進んでいます。
昨年、日米共同基地警備訓練は7月実施の後、2度目の訓練が10月下旬から11月上旬にかけて日米共同統合演習キーンソード25の一環として実施されました。この訓練には従来参加してきた自衛隊の経ヶ岬や福知山だけでなく、今津(滋賀県)、八尾(大阪府)、信太山(大阪府)、姫路(兵庫県)の部隊など330人が参加する過去最大規模の訓練となりました。さらに、参加した自衛隊の宿泊と駐車場として廃校となった旧宇川中学校が利用されるなど民間施設のなし崩し的な軍事利用が行われています。
京丹後・宇川の米軍Ⅹバンドレーダー基地は2014年12月に運用が開始されて10年が経過しました。宇川地区では、10年の間に人口も減り、高齢化が進み、空き家も目立つようになりました。
そのような地域で、米軍兵士は海岸清掃、祭り、英会話、音楽会、ハローウインなどに意識的・積極的に参加し、地域の人々や子どもたちと交流をし「良き隣人」として振舞っています。しかし、米軍の地域行事への参加は、「地域貢献」のためではなく、安定した米軍駐留、そのための住民懐柔を目的としたものであり、軍事目的に貫かれたものです。米軍は「良き隣人」ではありえません。それは、発電機の使用と騒音問題、軍属が集団居住・集団通勤をしていない問題、米軍関係者の交通事故公表の在り方などが示すように、米軍・防衛省による住民軽視と「約束違反」は続いており、京丹後市が基地受け入れ表明の際に提示した「10条件」が満たされていないことからも明らかです。

■各地の闘いとつながり、戦争する国づくりをとめよう!
昨年12月、毎日新聞(地方版)で京丹後の米軍Ⅹバンドレーダー基地の建設から10年を検証する連載記事が掲載されました。そこでは、発電機の騒音被害の深刻さや、住民の要求をないがしろにする米軍・防衛省の態度に対する地元住民の怒りや不満が紹介されています。それは宇川の人々が決して喜んで米軍基地を受け入れているわけではなく、現状に甘んじているわけでもないことをあらためて示しています。
今、声を上げ始めた宇川の人々と結びつきをさらに強め、安保強化と戦争態勢づくりを許さず、Ⅹバンドレーダー基地撤去に向けた闘いをさらに大きくしていきます。それには、関西や、全国で戦争する国づくりと闘っている人々と交流・連帯し、共同の闘いを推し進めていく必要を強く感じています。アジアの人びととの連帯も欠かせません。

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