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●韓国民衆の闘いによって誕生した李在明新大統領
【韓統連大阪本部】 崔誠一 (チェ・ソンイル)

6月3日、韓国で第21代大統領選挙が実施された。その結果、投票率79.4%中、野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補が49.2%の得票数を得て、大統領に当選した。

 今回の大統領選挙は最初から予定されていた選挙ではない。昨年12月3日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(当時)が突然非常戒厳令を公布し、韓国の民主主義が危機に陥る中、多くの韓国民衆が非常戒厳令に抗議して立ち上がり、国会で尹錫悦の弾劾訴追案の可決、4月3日には韓国憲法裁判所が尹錫悦大統領の罷免が決定され実施された選挙だった。

 今回の選挙の基本構図は、非常戒厳令(内乱)を支持する保守・極右勢力と韓国の民主主義を守ろうとする勢力との対決だった。非常戒厳令を拒否して街頭に出た韓国民衆は「尹錫悦即刻退陣、社会大改革非常行動」に結集して戒厳令公布以降、毎週土曜日に集会と市民大行進を行った。


国会に突入する兵士の銃をつかむ市民

 韓統連大阪本部も昨年12月から在日韓国人、日本人、韓国の留学生に呼びかけ、韓国民衆の闘いに連帯する「尹錫悦弾劾(後に罷免)と東アジアの平和実現のための韓日民衆連帯アクション」をJR鶴橋駅前、JR大阪駅前、ヨドバシカメラ梅田店前で数回にわたり行い、プラカードアピール、マイクアピールなどを通じて尹錫悦罷免などを訴えた。

 このように韓国民衆の民主主義を守る闘いによって李在明新大統領を誕生した。

■内乱勢力の清算と社会大改革

 李在明大統領がまず取り組まなければならないのは、尹錫悦前大統領をはじめとする内乱勢力の清算だ。李大統領自身も当選直後「皆さんが私に託した第1の使命である内乱を克服し、銃剣で国民を脅かす軍事クーデターが2度と起こらないようする」と語っている。

 6月12日、李大統領は尹前大統領の内乱事件を捜査する特別検察官を任命した。特別検察官とは、検察の捜査では政治的中立の確保が困難とされる事件などについて、大統領が任命する特別検察官が検察組織から独立して捜査を担う検察官のことだ。そして特別検察官は「職権乱用権利防止妨害」容疑などで尹前大統領を逮捕、裁判所は7月10日「証拠隠滅の恐れがある」として尹前大統領の身柄を再度拘束した。

 次に重要なのは社会大改革だ。社会大改革とは、8年前のキャンドル革命で誕生した文在寅(ムン・ジェイン)政権下では十分な社会改革ができなかったという教訓をふまえ、単なる政権交代に終わらせず、李政権と各政党・市民社会団体が協議しながら社会改革を進めることで、その分野は労働・貧困・女性・平和問題など多岐にわたっている。

 李大統領は内政において、まずは上記2ついて積極的に取り組み、結果を出さなければならない。

■南北関係の改善と互恵・平等な外交関係を

 李在明新政権が発足して早速、南北関係で変化が見られた。李大統領就任後の6月11日、李大統領は南北軍事境界線付近での朝鮮への拡声器放送の中止を指示した。これに応えるかのように朝鮮側も6月12日、南側への騒音放送を中止した。

 尹錫悦前政権時代は尹政権の対北強硬政策、韓米日の軍事協力強化などで南北関係は最悪の関係だったが、今回の李政権の対応を契機に、今後は韓米合同軍事演習の中止へと進むことを望む。

 外交面では米国をはじめ各国首脳と電話会談を行ったが、社交辞令的な部分もあり、今後、実際に対面での首脳会談がどのような内容になるかが注目される。

特に韓米、韓日関係では尹前政権のような米国追従、対日屈辱外交ではなく、互恵・平等の関係を築けるか期待したい。



「内乱・極右勢力清算」のプラカードを掲げる市民




関西共同行動ニュース No98